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大前研一 ポストコロナ時代の稼ぎ方 ニッポン企業の課題と高収益企業の研究

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はじめに

ニッポンの課題

2019年に中国で発生した新型コロナウィルスにより世界で何十万人もの死者が出て、ヒト・モノの動きが完全に途絶えたことで、各国の経済的損失は、1929年の世界大恐慌に匹敵する。今こそ日本は企業体質の変革を求められていると前向きにとらえるべきである。

この本から得られる知識

この本では、ふたつのパートを構成し、企業の稼ぐ力の高め方を解説している。
まず、最初のパートは「生産性改革編」だ。
そしてもうひとつは、「高収益企業の研究編」である。

生産性改革編

日本の生産性がG7の中で最下位、OECD加盟国の平均も下回っている状況で、本当に政府がいう「働き方改革」とやらで、残業を減らし有給休暇の消化率を高めても生産性はさらに落ち込むであろう。

なぜなら、これらが効果があるのは、定型業務型の企業であり、経営戦略を練ったり、新製品を企画開発したり、対外的な交渉をしたりするなど思考力や判断力、経験が要求されるクリエイティブな非定型業務には、そもそも残業と言う概念がないからである。

ここでは、日本企業の間接業務の課題を分析し、それに対する解決策を見出すことができる。

高収益企業の研究編

世界を見ると、このような状況の中でも「価格を高くしても販売量を失わない商品やサービスを提供し利益を確保している。」

これに対して日本は、いまだに「コストを削って、利益を絞り出す」という発想から抜け出せていない。
この章では、高収益企業を選出し、その戦略を分析・解説していきます。
ここで学んだ内容を参考にして、自社を高収益企業に変革させましょう。

著者のプロフィール

ニッポンの経営コンサルタント、早稲田大学卒業後、東京工業大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、現在(株)ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長。「ボーダレス経済学と地域国家論」提唱者。(本書の紹介より)

パート1 生産性改革編

第一章 生産性を高める経営

日本が直面している課題はなにか?である。それは、日本企業は、低い労働生産性を長時間労働で補っていること。とくに、ホワイトカラーの生産性が低いことだ!

企業の「稼ぐ力」を高めるための論点8つ

  1. 間接業務の生産性をいかにして向上させるか
  2. 中間管理職は必要か
  3. どのような「人材/機械ポートフォリオ」を構成するべきか
  4. 同一労働同一賃金を推進すべきか
  5. 労働力不足をいかに解決すればよいのか
  6. 長時間労働、残業をなくす方法はあるのか
  7. 従業員の子育て支援にどう対応するべきか
  8. 働き方改革ではなく休み方改革をするべきではないのか

について記載されている。その方法を知りたければ、是非読んでみよう。

この8つの論点を読んで、私まるひろが学んだこと、考えたこと。

  • 間接業務の生産性をいかにして向上させるか

 定型業務は、自動化・システム化・アウトソーシングするべき。

  • 中間管理職は必要か

 いらない。むしろ障害物。トップと平に直接やりとりして効率化されるとのこと。
 ですが、反対方向の、平の意見を集約してトップに伝える役割がいなくなると、トップが困るのではないかと思われます。何万人もの大企業ならむしろナンセンス。トップの意見を直に全員に伝えるときは、いいと思います。

  • どのような「人材/機械ポートフォリオ」を構成するべき

 人材は全て自前で揃える必要はない。社内・社外・自動化で考える。
 秘匿技術で儲ける会社は、社内のリソースが多めになるでしょう。そうするとコストが高くなりますが、もともと秘匿技術は高く売れますから問題はないでしょう。独自のものを持っていないか少ない会社は、自動化と社外を多めにするなど、コストミックスして利益を上げてく道を取るべきですが、日本の企業は、これが出来ていないのではないかと思います。

  • 同一労働同一賃金を推進すべきか

 世界的には、この潮流らしいが、CEOの給料がイギリスの1/5、アメリカの1/9である。
 日本人は生産性が低いから、仕事が海外へ行ってしまう。つまり、同一労働同一賃金が推進されれば、日本人は賃金を下げて、海外に移転されるの(工場移転)を止めて雇用を守らなければならなくなるのである。今同一労働同一賃金を叫んでいる人の賃金は上がらないのである。誰が幸せになるのだろうか。これは、「すべきか」を語る問題ではなく、上記のようになっていくから、「そのつもりで」自分で考えなさい、と言われていると理解しました。世界の潮流は止められない。IT化が止められないから、マシンが人に変わるなら、コストはそこに投資され、流れ作業の人件費は低い方に集約されていくと考えられます。

  • 労働力不足をいかに解決すればよいのか

 とにかく、このまま労働生産人口が減ると、税金も減り、国家が成り立たなくなる。
 原因は、安い賃金では人は(会社に)来ないということ。賃金を上げて、それをまかなえる価格に設定すればいい。いや、売れなくなるのでは?
 価格を上げられないなら、生産性を上げる。(ITの活用、もっと大きな視点で考える、たとえば日本の集配システムの改革として、あらゆる配達物を配達先でまとめ、1回で全てを届ける、など。)できない企業は淘汰されるだけ。と手厳しい。いろいろ問題があるが、外国人労働者を活用する道も積極的に考えてもいいのではと思います。

  • 長時間労働、残業をなくす方法はあるのか

 早く帰る(生産性が高い)と、いいことがあるようにすればよい。
 残業しなかった時間の賃金に高い係数を掛けて賞与に加算するとか。

  • 従業員の子育て支援にどう対応するべきか

 答えは、在宅勤務の併用でしょう。企業は少しでも働ける人の力を借りられるし、働ける人もその分の賃金収入を得られ、Win winとなります。

  • 働き方改革ではなく休み方改革をするべきではないのか

 日本の有給休暇取得率は50%、OECD諸国で最低!フランス100%、アメリカ80%である。
 今まで学んだことで生産性を上げたなら、休暇取得率は自然と可能になるのではないか。ただし、風土は変えないといけません。

第二章 杉本勝男 スキャンマン株式会社 代表取締役社長

      クラウドサービスを活用した間接業務の効率化

第三章 岩崎裕美子 株式会社ランクアップ 代表取締役

      ほぼ全員残業ゼロでも10年連続増収を果たしている理由

第四章 佐々木常夫 株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ 代表取締役

      経営戦略としてのワークライフバランス

第五章 菅田将啓 株式会社エニグモ 代表取締役 最高経営責任者

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パート2 高収益企業の研究編

第一章 高収益企業の経営戦略 大前研一

高収益の定義と以下の学ぶべきことの解説

1.バリュープライシング(キーエンス)
2.技術力と成長市場(サムスン、ソニー、村田製作所など)
3.ニッチ市場(シャイアー、東海カーボン)
4.マーケティング、ブランディング(フォルクスワーゲン、ファンケルなど)
5.プラットフォーム(フェイスブック、エムスリー、ZOZO)
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第二章 トップブランドを生むCSV(企業価値) 山下茂

企業価値を上げるのはマネジメント次第

ピジョン株式会社におけるコアコンピタンス(他社に勝る能力)とは?

第三章 日本電産から学んだ強い会社をつくる条件 川勝宜昭

M&Aを軸にした五つの経営再建ポイント

優れた会社をつくる三要素(経営者のリーダーシップ、経営手法、意識改革)

第四章 「出前館」のビジネスモデルと夢の街づくり 中村利江

まとめ(要点を3点)まるひろの案

要点1:流行りではなく、ニッチを狙う

要点2:技術力、開発力、意識改革が大切

要点3:できないことは外注する(ITの活用でも生産性は上がる)
    ただし、どちらの策でも賃金は下がる。
    ⇒ 職種、ステージを変えることで状況を変えられる可能性はある。

 たくさんの企業の成功例が記載されていて、紹介しきれません。
 どの企業の稼ぎ方が自分に合っているのか、ご自身で確かめることをお勧めします。

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