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ジョージ・サンダース殺人事件 Crime on My Hands クレイグ・ライス Craig Rice 訳:森村たまき

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ジョージ・サンダース殺人事件 クレイグ・ライス

【拙評・感想】

ジョージは役者、探偵だ。彼は難事件を解決する名優である。
銃撃シーンの撮影で、エキストラの一人が撃たれて死んだ。
撮影の中止により、莫大なお金が一日一日と失われていく。
監督も他のキャストたちも、一刻も早く撮影を再開したい。

だが、主人公のジョージ探偵は、そうではなかった。
彼は、このエキストラの男がなぜ死ななければならなかったのか、を調べる義務があると考えてしまった。

このエキストラは誰なのか。
“死体が匿名でいる限り、殺人犯は無傷でいられるのだ。” たしかに。。。
“まるで誰かが御用済みの死体を投げ捨てて行ったみたいだ。” そんな風に訳すの。。。

皮肉なことに、銃の口径からジョージ自身が疑われそうな状況になったことから、彼はその銃の隠蔽に動いてしまい、それが自分の立場を追い込んてゆく。

そこで彼は、映画フィルムに全ての証拠が映っているはず、と皆に宣言し、そのフィルムを自分のトレーラーに一時預かったと吹聴して、犯人がトレーラーにフィルムを捜しに来るように罠を仕掛けた。

彼がトレーラーで待ち伏せていると、思ったとおり次々にいろんなゲストがやってきた。
ジョージは、ひとりひとりに「おまえがやったのか?」と聞いていく。
そこで聞いた話から推理していくというスタイルだが、犯人かも知れない人物と対峙している割には、緊張感が無いというか、コミカルな感じさえする。

そして、彼のトレーラ―を訪れた女優のワンダが帰った後、証拠のフィルムのリールが消えていることに気づいた!

キャスティング監督のポールと女優のカーラは結婚を約束するまでの仲になっていたのだが、カーラと最初に殺されたエキストラのセヴランス・フリンの過去を知ったポールが逆上して、フリンを撃ったのかと思われたが。。。

つぎに、スクリプターのペギーが撃たれた。後ろから。なぜだ。
これもポールの仕業かと思われたが、今度はポールが撃たれた。
なら、犯人はポールじゃない!?

ついには、ジョージが狙われる。。。
真犯人との対決!

と、まあ、話はテンポ良くすすむ。この会話のリズムで読めたらの話だが。
読めるようになると、だんだん面白くなってくる。
まるで、アメリカン・コメディ番組を見ているような感じ。

トレーラーで犯人を待っているときに、彼が家の電話の問題(シャワーしているときに電話が鳴った時に自動で受話器を取って、スピーカーで聞こえるようにしたら会話できる。でもどうやって電話を切るんだ。)といった馬鹿馬鹿しい問題について真面目に考えていた話は、何だろうと思っていたが、最後には犯人逮捕に役立つのも面白い。


クレイグ・ライスさんのプロフィール

1908年~1957年、アメリカの小説家 クリスティの独創性とセイヤーズのウィットの複合とも評された黄金期アメリカの代表的女流作家。(本書の紹介文より)

著者の作品

主な作品に『大あたり殺人事件』『スイート・ホーム殺人事件』『第四の郵便配達夫』など多数(本書の紹介文より)

訳者

森村たまき 1964年生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程修了。


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