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超常現象を調査する専門家の忍鳥摩季が背後にいる謎の「先生」と謎を解く

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『忍鳥摩季の紳士的な推理』 穂波了 書評・感想 

忍鳥摩季は世の中で起きる超常現象を調査する専門家。
一見、ちょっと頼りない彼女が、世の中で起きる超常現象を利用した殺人事件を解決していくのだが、なぜか謎解きになると摩季の態度は一変してしまう・・・・・・。
彼女の背後にいる謎の「先生」とは!? 世にも奇妙な超常現象の世界を描く特殊設定ミステリー。(出版社内容情報より)

目次

内容紹介・あらすじ

第一話 白銀のループ

岩手県安比高原のスキー場にあるペンション・スターダスト
女子学生の忍鳥摩季は、親戚の結婚式の前乗りして、スキーを楽しむつもりだった。
ホテルには、先生とツインルームに宿泊するらしい。(えっ⁉)
摩季はチェックインするやいなや、レストランへ向かった。
食後に先生と部屋へ戻ると、バイトの男の子が紅茶を持ってきた。

このあと、不思議なことが起こったのである。
階段へ向かったはずのバイト君が7号室にワープした。
空間がねじれて繋がったのだろうか。

今の現象を簡単に説明すると、
『非常口は倉庫とつながり、窓は透明な板で塞がれている状況でも、外から雪は吹き込んでくる。それと同様に、電話の電波も外部からここには届くが、こちらの声は外には出て行かない。・・・ということだ。』
『・・・つまり、ブラックホールだ』

とりあえず、摩季はこれをループ現象と呼ぶことにした。

そして、ループ現象の切れ目を使った殺人事件が起きてしまった。
被害者は、バイト君だった。

先生は、バイト君の死体を観察し、ループによる殺人方法を発見した。

第二話 月夜のストップ

群馬県の水上駅(みなかみえき)

第一話の事件により超常現象に興味を持った摩季は、「超常現象調査士」の資格を取得した。
今日はその初仕事として、土岐家(ときけ)で起きている異常を調べることになっている。

(人物)
・土岐一葉:当主、双葉の姉
・土岐双葉:お嬢様
姉妹は、実業家の両親を不慮の事故で亡くしていた。
・磯貝執事(家令ともいう。家令はハウススチュワードとも言い、最上級の執事のこと。)
・三島莉奈:メイド、元大学病院勤務の看護師

一葉の眠りとともに、屋敷内ではおかしなことが起こり始めていた。
「一葉のまわりのものが一切動きを止めるストップ現象」が起き始め、使用人も次々と辞めていった。

一葉の世話をするメイドの三島と共にそばに居た摩季、そこでストップ現象の時間となった。
通常は30分のストップ現象が、40分起こっていたのである。

10分の差はなんだろう。

一葉はそのストップ現象中に、多くの矢に射抜かれて死亡していた。
そして、警視庁超常現象対策室の三駒綾瀬警部が捜査に入った。

だが、事件を解決したのは、綾瀬警部ではなく、またしても先生だった。
表面上は、摩季の手柄となるが・・・

(超常現象を使ったトリックの中でも時間を止めるストップ現象、そのときに動けるか否か、といった条件は(タイムリープもそうですが)、考えると頭が痛くなりますが、とても面白いです。)

第三話 怪物とコントロール

マンションの地下駐車場。
殺人事件捜査の指揮を執るのは、あの三駒綾瀬警部だ。

マンションの住人の男が、別の男に嚙みついて殺してしまった。
犯人の男は、「自分でもどうしてこんなことをしたのか分からない」と語る。

現場に居た犯人の五才の娘が注目された。
娘は「木こりと怪物」という絵本を持っていた。
世界には、創作物のストーリーが現実になるという超常現象の例があるという。

この例から、警察は一旦娘を隔離して、色んな絵本を読ませることにした。
すると、絵本どおりの超常現象が起こったのである。

これが殺人事件の原因であるなら、法律で人を裁くことはできない。
本人たちに悪意は無かったから。

ところが、先生が言う「犯人が分かった!」

第四話 私と彼のタイムリープ

場所は、熊本県の離島、平升島(ひらす島)。

半年前、先生は摩季の前から姿を消していた。

平升島の病院から摩季に、父の危篤を知らせる手紙が届いた。
が、しかし父は約二十年前に失踪していたのである。

摩季は二十年寝たきりで、ようやく目を覚ましたという父がいる病院の三階の病室に到着し、父と久しぶりの再会おを果たした。
その病室から、窓の外を見ていると、女性が上から下へ落ちるのが見えた。
窓から下を見ると、女性は死んでいるようだ。

急いで、部屋を出ようとしたところで、意識が遠のき「タイムリープ」した。
これが繰り返されるのだ。
だが、「タイムリープ」するごとに少しずつ状況は変わる。もう少しで女性を救えそうだ。

父と話すうちに、驚くべきことが分かる。
父は、半年前に自分の体に戻ったのだという。
半年前と言えば、その頃、先生も摩季の前から姿を消している。
これって、まさか・・・。

なんと、先生の正体は、二十年前に失踪した父だったのである。
父は、自分の体から離脱して先生となって摩季を見守ってきたのである。
元弁護士の父は、娘の摩季にテキパキと指示を出す。

窓から見えた女性は、誰かに突き落とされているらしい。
何とかそれを阻止したいが。

「タイムリープ」を繰り返す中で、父と娘は事件の真相に辿り着いた。
(真相は読んでみてね)

やっと目覚めた父も体は二十年寝たきりで経過していたため、亡くなってしまった。
摩季は傷心のまま島を離れるのだが、なんとそこには幽霊となった先生の姿があったのである。
どうやら、摩季が心配な父は死にきれなかったようである。

ならば、このシリーズは続きがある!?

著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2019年、謎の致死性ウィルスが題材のパンデミック小説『月の落とし子』で第9回アガサクリスティー賞を受賞してデビュー。近著に『売国のテロル』『裏切りのギフト』がある。(本書の情報より)

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書籍・著者情報

・形式 単行本
・出版社 双葉社
・ページ数 277頁
・著者 穂波了
・発行 2024年4月20日

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