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ニッポンの書評 豊崎由美(豊﨑由美) いい書評とダメな書評、書評の役割について持論を展開し、プロが書いた書評も一刀両断!

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目次

書籍の紹介

書評とは何か? その役割とは? 書評と評論の違いは? いい書評と悪い書評の違いはどこにあるのか? 新聞や雑誌のプロの書評だけでなく、アマゾンのレビューやブログなどにおけるアマチュアの書評までもが溢れ返る現在、書評の意味を問い直す。著者は、現在最も戦闘的な書評家で、長年、書評講座も行っている。(Rakuenブックスの内容紹介より)

要約

第1講 大八車(小説)を押すことが書評家の役目

 批評との違いは、批評は対象作品を読んだ後に読むもので、書評は読む前に読むもの なので、書評はネタばらしをしてはいけないということらしい。批評はネタばらしとなることが多いらしい。ということは、ネタばらしされたくない方は、批評とタイトルの付いた記事は読まない方がいいということになりますかね。

第2講 粗筋紹介も立派な書評

 粗筋と引用だけで成立していて、自分の読解をまったく書かない原稿があったとしても、その内容と方法と文章が見事でありさえすれば立派な書評だとのこと。

自分の読解をまったく書かないのは、「評」とは言えないような気もしますが、修行の足りない私としては、まあまあ有難いお言葉です。そして三つの書評観を述べられています。あくまでも著者の書評観です。1.や2.は下名ごときには関係なし。3.は本来、備忘録としておきたかった下名としては悩ましいですが、今後はネタバレなきよう工夫してみようかと考えているところです。

  1. 自分の知識や頭の良さをひけらかすために、対象書籍を利用するような「オレ様」書評は品性下劣。
  2. 贈与としての書評は読者の信頼を失うので自殺行為。
  3. 書評は読者に向って書かねばならない。

第3講 書評の「読み物」としての面白さ

 読み物として、面白い書評もあるという。

第4講 書評の文字数

 著者が依頼される書評では、800字くらいが多いそうです。1600~2000字ほどで書いて、800字に削るという作業になるようです。

そのほか、週刊誌なら1000~1600、月刊誌は1500~2700、新聞は550~1950

ブログでは、最低2000~3000文字かかないと、検索エンジンに評価されないと言われているようですので、このブログではどうするか悩ましいところですが、この記事は、3000文字を超えています。

お名前.com

第5講 日本と海外、書評の違い

 海外の書評は、論文のように長いものも多いらしい。だからネタバレも多くなる。

第6講 「ネタばらし」はどこまで許されるのか

 イギリスでの許されている風潮とその例が紹介されています。

第7講 「ネタばらし」問題日本篇

 年配の評者はネタばらしをする。非ミステリー系、純文学系文芸誌に評論を書いている批評家もネタばらしに神経質ではないらしい。

 でもミステリー系のレビュアーの方は、書評におけるネタばらしを忌避されているらしい。

 それに対して、文芸評論家の榎本正樹氏が、絲山秋子の『ばかもの』評では、粗筋を全て明かしていることに、著者は憤っておられるようだ。

第8講 書評の読み比べ ― その人にしか書けない書評とは

 粗筋はそこそこにして、その小説をきっかけに、自分の世界の持論を展開する書評とでもいいましょうか。そんな書評のことでした。

第9講 「援用」は両刃の剣 ―『聖家族』評読み比べ

 援用とは、自分の説を補強するために他の文献・事例などを引き用いることですが、まずたくさんの文献を読んでいることが前提になるので、私にはまだまだ関係ない話ですが、援用しておいて、自分の読解につなげていないものや知識自慢が目立つものがあるのを嫌っておられるようです。

第10講 プロの書評と感想文の違い

 プロの書評には「背景」があるとのこと。蓄積された知識、語彙、物語のパターン認識、他の本の要素との関連付けなどの力があるということのようです。

 そして、ついに「書評ブログ」については、程度が低いということと、匿名で守られている人は、批判しないで、愛情をもって紹介できる本のことだけを書いてはどうかとおっしゃっています。批判するなら顔を出せ、とのことのようです。

 そうですね。怖いのでなるべくそうしようと思いますが、ちょっとは本当のことを書かないと、第2講の「贈与としての書評は読者の信頼を失うので自殺行為」に該当しそうですが。。。

第11講 Amazonのカスタマーレビュー

 レビュー欄の「報告する」をクリックすると、削除を要請できるとのことで、それは私も知りませんでした。ある作家の方は、この機能を利用者に明らかにしていないのは、公共的な責任を果たしているとはいえないとAmazonに抗議されており、自分の作品に付いていた好意的なレビューが削除された経緯を明らかにしないAmazonへの怒りを朝日新聞ネット版に公開している例をあげている。

 そして、「批判は返り血を浴びる覚悟があって初めて成立するんです。それ以外は、営業妨害です。」とのことです。営業妨害なのか、表現の自由なのか。

急げ!新ドメインは早いもの勝ち!

第12講 新聞書評を採点してみる

 これは、これで面白い試みです。プロが掛かれた評論を、著者の基準で名指しでランク付けをしているからです。やはりネタばらしの評論は、評価が低くなりました。名指しなので、読んでみると面白いですよ。

ニッポンの書評 豊﨑由美

第13講 『1Q84』一・二巻の書評読み比べ

 2009年に発売された村上春樹さんの『1Q84』は、図書館で借りて読んだ記憶がある。

 村上春樹の本は、そのストーリーが空想的で面白いと感じていて、1Q84を読む前からいろいろ読んでいますが、粗筋を覚えていません。もっと早く読書ブログを立ち上げておけば良かったと思う。

 著者が考える書評は、「作品と言う大八車を後ろから押してやるものだ。」とおっしゃっているので、売れている1Q84の書評なんて書かなくていいから、批評が必要!とのことです。

第14講 引き続き、『1Q84』の書評をめぐって

 ここでは、ネタばらしをした書評家の方との、コメントの応酬について書かれています。
 ネタばらしをしたプロの評論家にも噛みつく豊﨑さんはすごいです。

第15講 トヨザキ流書評の書き方

 豊﨑さんの書評を書く時の、本の読み方が紹介されていて、私も興味深く読ませていただきました。なるほど、段階的だなと思いながらも、自分は図書館で借りることが多いから、その手は使えないなと思う。自分で買ったとしても、家が狭いので、メルカリですぐ売るだろう。だから、やはりその手は使いにくいが、半分は使えると思います。参考になりました。

対談 ガラパゴス的ニッポンの書評―その来歴と行方

 これは、本書発売の2011年4月では、たぶん若干三十三歳の大澤聡さんと、五十歳の著者との対談ですが、話の内容を読んでいると、大澤さんの深い知識に感心させられます。
 そして、豊﨑さんのキャリアパスなども分かります。この本の内容にも沿っており、内容の理解の一助となっています。

私の実践ポイント

・できればブログの文字数も、1500字くらいの制約をつけてみようか。
・小説のネタばらしはしないように、でも本書のような実用書・教養書はその限りではない
・できればですが、作品を後押しする。

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まとめ

はじめて書評論的なものを読みましたので、この本の内容について確認するために、他の本も読んでみようかと思います。
たとえば、「書評の仕事 印南敦史著」とか。

書籍情報

発行 2011年4月20日 初版1刷発行
発行所 株式会社光文社
頁数 230頁
定価 本体740円+税

著者のプロフィール

豊﨑由美(とよざきゆみ)さん
1961年7月生まれ、ライター、ブックレビュアー。
「GINZA」「本の雑誌」「TV Bros.」などで書評を多数連載。

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