竜とドラゴンは別の生き物
常連の村木老人が中日ファンという話から、漫画ドラゴンボールの話になり、竜が龍になって、ボールは宝珠で、竜は竜宮だから水の神様で、龍は天に昇って宝珠を持って帰ってくるとかどうとか。
ついに、村木老人は「竜は架空の存在ではなくて太古の昔に実際に生息していた」と言いだしてからが、このお話の始まりである。
村木老人と喜多川先生の意見は対立し、ミサキさんもいろいろな質問をする。
もともとは、蛇だとかワニだとかいう説も飛び出して、それぞれの説明の矛盾点を突いたり、突かれたりして議論は展開されていく。
みごとなのか、ほんとに論理的なのか、あとから読み返しても、よく頭に入って来ないのだが、いつものようにミサキさんが。。。
といったところで、
「ラストオーダーです」
「ドラゴンレディを」
サルでも判る応仁の乱
会話や安田君の心のつぶやきのテンポがいいので、どんどん読めてしまう。
さて、今回の議論のきっかけは、カクテルの味の話で、複雑な味といったついでにかっこつけて「応仁の乱のように」と安田君が言ってしまったことから、ミサキさんが「簡単ですよ」と返したから、治まらなくなった。
どうやら、応仁の乱は専門家でも説明するのが大変なくらい複雑らしい。
久しぶりに歴史の勉強になりそうだ。
大河ドラマファンにとっては興味津々といったところである。
その応仁の乱の、始まりと終わりの定義の論争?である。
ミサキさんの意見を聞いていると、そういう考えもできるな、と思ってしまう。
歴史の教科書にしても、自分が中学生だった数十年前とは変わっているというし、何のために歴史の年号を暗記したんだと、文句も言いたくなる。つまり、学問はいろいろな説が登場して、戦国時代の様に事実と言われる部分が書き換えられてしまうのだ。学校で習う歴史は、事実とは言えないという考え方があってもおかしくはない気がしてきた。
黙ってしまったみんなに、またミサキさんは最後のカクテルを出した。
ブランデーにグレープフルーツ3のオリジナルだ。
遠い国から来た天草四郎
久しぶりに、バー「シベール」に行くと、ミサキさんが村木老人と結婚したという。27歳と78歳の結婚! 安田君ばかりか喜多川先生も私もショックを隠せない。
結婚式は挙げないとか、日本人は結婚式はしていなかったとか、じゃクリスチャンだった天草四郎は結婚式を挙げたのかなどと話題が展開していき、天草四郎は存在しなかったという話にまで発展した。
そして話題は、島原の乱の首謀者は誰だったかという謎解きに発展する。
金沢、能登、九州を舞台として、ミサキさんの謎解きと村木老人の夫唱婦随のアシストがさく裂し、歴史学者の喜多川先生も黙らせる! 痛快歴史推理譚。
最後にミサキさんから提供されたカクテルは、エターナル・パライソ。島原の乱は、永遠の楽園(エターナル・パライソ)を夢見たキリシタンたちの聖戦だったのだろうか。
徳川埋蔵金はここにある
久しぶりに安田君が喜多川先生とバー「シベール」に行くと、いつもいる村木老人がいないので、ミサキさんに聞くと、婚姻届けを出してすぐに、ふぐの毒に当たって亡くなったという。(なんと)お店も今日で閉めるという。
そして、ミサキさんは村木老人が資産家とは知らないという。
そんな徳川埋蔵金みたいな話があるわけない、と。
知ってたら、全部相続できる?のに!
そして、話は徳川埋蔵金はあるのか、ないのか、という方向へ。
かつてテレビ番組で、徳川埋蔵金を探すということで、赤城山を掘りつくしてしまったのは、記憶に残っている。
江戸城無血開城の時点で、江戸城を探したが見つからなかったという。
そして、推理は、川を使って塀がある ”名のあるお屋敷” に運んだので、目撃者がいないのだ、という推理が続きます。
そして、そのお屋敷の人物を特定する推理が始まり、ついに特定!
古地図と現代の地図を突き合わせ、ついに現代地図上のあるエリアにスポットがあたった。
最後のカクテルは、ゴールデンデイズ(黄金の日々)だった。埋蔵金を手に入れたとでも言いたげな。。。
主な登場人物
ミサキさん バー「シベール」のバーテンダー 20代半ば 160㎝ 美人 西武ファン
村木春造老人 上品 歴史学者 中日ファン 資産家
喜多川猛先生 35歳 帝桜大学史学科教授 背が高く体格もいい 巨人ファン
安田学 ぼく 史学科の三年生 喜多川先生の助手的立場
鯨統一郎さんのプロフィール
1998年『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。
同作はシリーズ化されるなどデビュー作にして大きな話題になる。
その後も大胆な解釈で歴史の常識を覆す小説作品を多数送り出す。
「桜川東子シリーズ」や「タイムスリップシリーズ」など著書多数。(ネット上の紹介文より)
〆
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